内田光子さんのコンサート(2025年4月23日)
左から右へ:カーネギーホールへ行く前の練習風景。挨拶をするコズモ先生の猫タミーノ、私が良い練習をしているかチェックするグラツィエラ、コンサートの開始を待つ様子、ボストンフィルへのスタンディングオベーション。
今日の午後は、先生の素晴らしいスタインウェイで練習しました。写真の通り、グラツィエラとタミーノは私の演奏にとても関心が深く、練習をサポートしてくれました。コズモ先生から「恐れずに演奏しよう!」と教えられたように、もっともっと恐れずに演奏できるよう努力しています。これは私にとって、常に演奏の中心に置かねばならない大事なことですが、ニューヨークに来てますます良くなっていると思います。
夜はカーネギーホールへ行き、ボストンフィルと共演する内田光子さんの演奏を聴きました。本当に素晴らしい機会ですから、できる限り多くのことを吸収しようと、私は心に誓いました。
内田さんが登場した時、まだ演奏が始まる前にも関わらず、観客がスタンディングオベーションを起こしました。演奏を通じて、常にホール全体を完璧にコントロールし、フレーズの一つ一つに深い洞察力があることにも大変驚きました。
面白かったのは、彼女が演奏を始めた直後、観客の一人が大きなくしゃみをしたのです。すると、彼女は演奏を止め、「さあ、今こそくしゃみや咳をしましょう!」と観客に合図しました。少しの笑いと沢山の咳やくしゃみの後、彼女は先ほどよりもさらに集中した音色で演奏を始めました。曲目は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番でした。特に第2楽章の美しさで、作曲している当時のベートーヴェンの部屋の雰囲気や感情が鮮やかに思い浮かびました。
この演奏は、私にとって興味深い疑問を抱かせました。オーケストラの音は指揮者によって変わるのでしょうか?以前、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演に行った際、小澤征爾氏が最後の最後で、飛び入りのゲスト指揮者として登場しました。オーケストラのメンバーは同じ。楽器も同じ。もちろんホールも同じ。でも、音色が全く違ったのです。
トルコで演奏したときもそうでした。1年目と2年目では違う指揮者でした。でも、オーケストラのメンバーは同じです。でも実は、1回目と2回目でオケの音色が違っていたんです。そういえば、1年目のときに「私のモーツァルトに合うように、オーケストラの音色がいつもより高貴になった」と言われたのを思い出しました。
内田光子さんとのコラボレーションでボストンフィルも何か変化したのでしょうか?それとも、内田光子さんがボストンフィルに影響を受けたのでしょうか?それとも、お互いに「化学反応」を起こしていたのでしょうか?そして、6月にオペラ歌手とのコンサートを控えている今、私のピアノもオペラ歌手の声に影響を受け、いつもと違う音色を奏でるのでしょうか?
自分の音を磨き続ける中で、考えるべきことがたくさんあるようです。