ラン・ランが教えてくれたこと ― パート6
左から右へ:ラン・ランのピアノ学習における8つの黄金律、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23の情熱的な演奏3本:マルタ・アルゲリッチ/シャルル・デュトワ、ウラディーミル・ホロヴィッツ/アルトゥーロ・トスカニーニ、スヴャトスラフ・リヒテル/ヘルベルト・フォン・カラヤン
ルール6:情熱を解き放つ
ピアニストに「なぜ演奏するのですか?」と尋ねれば、おそらく「本当に好きだから」と答えるでしょう。演奏者と楽器の間には深い繋がりがあります。だからこそピアニストはピアノを通して感情を表現することができるのです。
これは必ずしも最初は明らかではありません。なぜなら、始めたばかりの頃は運指、テクニック、初見演奏、暗譜といったことにあまりにも集中しすぎて、いわゆる「音楽性」に情熱を傾ける時間などほとんどないからです。ピアノですべてを正しく演奏できるようになるには、何年もかかることもありますが、こうした集中力は楽器をマスターするためには避けて通れません。自転車を練習中の人が、周りの景色を楽しむよりも、転ばないように注意するのと同じです。
ピアノでも、基礎的なことが身に付いた後は、それだけに集中しなくなります。ある程度のことを自動的にできるようになり、もっと感情を込めて演奏することにエネルギーを割けるようになります。俳優も同じで、台詞を頭の中で覚えてからでないと、台詞に意味を持たせることはできないと言います。情熱を持って演奏するには、基礎を超えた、音符を頭や指に叩き込むためのものではない本当の研究、作曲家の意図を表現しようとする十分な集中と深い理解が必要です。
辞書で「情熱“passion”」という言葉を調べると、「強烈な、駆り立てるような、あるいは圧倒的な感情や確信」という定義があります。ですから、情熱的に演奏するということは、自分が伝えたい曲の感情的な枠組みについて、すでに考えを持っているということになります。
そのような情熱がなければ、ピアニストは作品の真の力を伝えることはできません。ラン・ランが指摘するように、そして私も正しいと思いますが、ピアニストが聴衆に感じてほしいと思うような活力をその曲に持たせるためには、音楽の「炎」を燃やし続けなければなりません。彼はこの情熱を「成功の原動力」と呼び、的確に表現しています。
今日ご紹介したビデオの最初の5分ほどを聞いてみてください。それぞれ内容は大きく異なりますが、どれも非常に情熱的な演奏です。
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