ラン・ランから学んだこと ― パート7(2025年7月25日)

左から右へ:ラン・ランのピアノ学習における8つの黄金律。ピアニストがそれぞれ異なる解釈で演奏する、ベートーヴェンの「なくした小銭への怒り」。

ドラ・デリイスカ、オルガ・シェプス、エフゲニー・キ―シン。

ルール7:全体像を見る

ラン・ランは、ピアニストが曲を研究する際には、音符をなぞるだけでなく、その背後にある物語を見つけ出すべきだと考えています。

音楽作品は、単独で語るメロディーが他のメロディーと「対話」するという点で、小説によく似ています。静かな「とき」の後に大きなクライマックスが訪れることもあり、また、始まり、中間、終わりと進むプロットもあります。だからこそ、作品を単なる音楽作品としてではなく、物語を語るものとして見ることが非常に重要なのです。

ラン・ランは、作品のテーマや主要な旋律、そして作品の中で「語りかける」様々な声を理解し、同時にそこで起こっていること全てを感情的に描くためには、マルチメディアスクリーン上に作品が存在すると想像しなければならないと述べています。

さらに、演奏者は「多機能」である必要があるとも語っていますが、これは私もその通りだと思います。つまり、作品に命を吹き込むためには、音楽家であるだけでなく、探偵であり、語り手でもある必要があるということです。

これは、親が子どもに寝る前に物語を読み聞かせるとき、登場人物ごとに声色を変えたり、筋書きの様々な側面を強調するために声を大きくしたり小さくしたりするのとよく似ています。このようなことで、真に素晴らしく、そして刺激的な演奏が生み出されるのです。

ベートーヴェンの「なくした小銭への怒り」では、旋律が繰り返されるにつれて、様々な雰囲気の変化が見られることに注目しながら見ると、それぞれのピアニストが、どのように物語を考え、どのように変化をつけて語っているか、その違いがよく分かります。

 

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