ファニー・メンデルスゾーン、『一年』より「三月」
ファニー・メンデルスゾーン作曲の『一年』より「三月」。
「三月」は、冬が去り始め、生命の兆しが再び訪れる瞬間を思わせます。1月の物思いにふける雰囲気と比べると、動きと方向性がはるかに明確です。リズムと特徴は、風、動き、そして季節の移り変わりに伴う落ち着きのなさを示唆しています。
この曲は、ゲーテの『ファウスト』から以下の詩節を引用しています。
おんみら濁れる鐘の音よ、
はやくも復活祭の最初の祝の時を報ずるか。
(森 鴎外訳)
この曲は嬰へ短調で劇的に始まります。その後すぐにコラール「Christ ist erstanden(キリストは復活した)」が現れ、その後、音楽は輝かしいエンディング(動画内で演奏している部分)で締めくくられます。私にとって、この曲全体の流れは、キリストの受難、すなわち苦しみ、それに続く復活の瞬間、そしてその後に訪れる栄光を描いているように感じられます。
また、特に興味深い点が一つあります。動画で演奏している部分の冒頭で、左手のオクターブに耳を傾けると、メロディーの下に隠された何かが聞こえてきます。右手の美しく力強いメロディーの背後で、先ほどのコラールのメロディーが、今度は低音で演奏されます。
そのため、どちらの旋律も非常に重要なのです。右手のメロディーは明瞭に歌い上げるように弾かねばなりませんが、同時に左手のコラールも存在感があり美しくなければなりません。このパッセージを練習したとき、課題は単に一つのメロディーを他のメロディーよりも強調することではないことに気づきました。
むしろ、それぞれのフレーズが他のフレーズとどのように関係しているか、つまりどのように、どこに向かって盛り上がり、落ち着くのかを考え、それらを一つの歌のラインのように構成を考える必要がありました。
ある意味、一人のピアニストが複数の声部を演奏しているというよりは、複数の素晴らしい器楽奏者やオペラ歌手を同時に指揮しているような感じです。それぞれの旋律には独自の個性と方向性がありますが、それらが息づき、共に動いていなければなりません。それらがうまくバランスをとると、ポリフォニーがより鮮明になり、このセクションの輝きと壮大さが自然に現れるのを感じます。
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