ピアノの「ピッ」!

最高の自分

最近、「最高の自分(the best version of yourself)」という言葉を目にしました。これは、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー作家であり、モチベーション・スピーカーとしても知られるマシュー・ケリー氏の言葉とされています。彼は著書『The Rhythm of Life(人生のリズム)』の中で、この概念について論じています。それは単に外的な成果や業績に基づいたものではなく、むしろ、自らが到達し得る最高の可能性を追求するために、日々規律を持って取り組む姿勢こそが重要である、という考え方です。

これが私にとって、ピッ!ひらめきの瞬間でした。現在の人生における「立ち位置」だけでなく、自分が「目指すべき場所」についても深く考えさせるきっかけとなったからです。短期および長期的な目標は何か、そしてその目標を達成するためには何が必要なのか――そうした点に関して、多くの問いが私の心の中に湧き上がってきました。

さらに、「最高の自分」という概念は、私に、単なる「ピアニスト」としてだけでなく、「一人の人間」としての自分自身についても深く省みることを促し、多くの自問自答を重ねさせることとなりました。例えば、「最高の芸術家」となるべく日々研鑽を積む中で、私の人格や性格のどのような側面が、その成長の糧となっているのだろうか?といった問いです。

もし私がピアニストとしてケリー氏に助言を求めたなら、彼は間違いなく、アルトゥール・ルービンシュタインやマルタ・アルゲリッチといった巨匠たちと自分を比較することではなく、もっと内面的な人格のあり方にこそ意識を向けるべきだと勧めることでしょう。そうすることで初めて、昨日の自分よりも今日の方が、より高い集中力と意識を持って練習に取り組めているかどうかを正しく判断できるようになり、同時に、自分にはまだどれほどの成長の余地が残されているのかを絶えず探求し続けることができるからです。

この原則を実践する上で、私にとっての鍵となるのは、練習において可能な限り「一貫性」を保つよう努めることです。その上で、現在の自分から「目指すべき場所」へと歩を進めるための、小さな目標を絶えず設定し続けることが重要となります。具体例を挙げるならば、ショパンの「バラード第3番」に見られるように、楽曲の中で繰り返されるフレーズを、その都度いかに多彩な表情で弾き分けるか、という点に意識を向けて練習することなどが挙げられます(この作品については、今週の私のブログ記事でも詳しく触れていますので、ぜひご覧ください)。それはつまり、真に豊かな表現ニュアンスを生み出すために何が必要なのかを深く自問し、内面を深く掘り下げる作業に他なりません。そうすることで初めて、繰り返されるフレーズの一つひとつが、それぞれ独自の輝きを放ち始めるのです。

同時に、「最高の自分」を目指すということは、すべてを成し遂げ、もはや到達すべき頂がなくなったような「完成された状態」に安住することではない、という点も示唆しています。むしろそれは、今日の自分という存在を、明日はさらにどのような形で高めていけるだろうか――と、常に自らに問いかけ続ける、絶え間なき探求の旅なのです。