ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 第一楽章
この第1楽章において、ベートーヴェンはピアニストとオーケストラとの対話を作り出しています。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の第1楽章(アレグロ・コン・ブリオ)は、力強さと極めて高度なコントロールとの間で繊細なバランスを保つことが求められるため、演奏者にとって難易度の高い作品です。ハ短調で始まる冒頭は暗く重厚な雰囲気を帯びており、ピアノが登場するまでに、音楽は次第に強烈な緊張感を高めていきます。多くの音楽学者が、ベートーヴェン自身も熟知し演奏していたモーツァルトのピアノ協奏曲第24番(ハ短調、K. 491)とこの作品を比較してきました。したがって、ベートーヴェンの作品を学ぶにあたっては、モーツァルトの同曲を深く理解しておくことが有益でしょう。
しかし、そうした比較はさておき、ベートーヴェンが独自の方向性でこの着想を展開させていることは明らかです。第1楽章を練習する際、速い音階やオクターブ、和音、トリルといった、技術的に困難なパッセージにばかり意識を向けがちになります。もちろん、それらを習得することは不可欠ですが、技術はあくまで出発点に過ぎません。ベートーヴェンのフレーズには明確な方向性があり、あらゆる音楽的要素は、それ以前や以後の要素と何らかの関連性を持っています。ピアノとオーケストラが同じ物語の異なる部分を語り合っているかのような「対話」の場であるため、演奏者はオーケストラの音に注意深く耳を傾けなければなりません。
さらに、第1楽章の長大なカデンツァは特に重要であり、演奏者が全精力を注ぐに値するものです。ベートーヴェン自身が書いたカデンツァには、劇的な対比やリズムの意外性、そして後に到来するロマン派のピアノ様式を予感させるようなパッセージが含まれています。私がこのカデンツァを練習する際、建築の構造を思い浮かべます。つまり、音楽はどこへ向かっているのか、どこで緊張が高まり、どこでそれが解放されるのか、といった点です。すべての難所を同じようなテンションで演奏してしまうのは、すべての部屋を同じ広さ、同じ形で設計してしまうようなものです。
ですから、私がこの第1楽章に取り組むとき、まず「どうすればこの難しいパッセージを弾けるだろうか」とは考えません。その代わりに、「ベートーヴェンは何を伝えようとしているのか」という問いから始めます。そして、その意図を表現するために、自分の技術をどう活かせるかを自問するのです。和声だけでなく、主題についても研究します。オーケストラの音を単に追うだけでなく、彼らの意図を理解するために注意深く耳を傾けます。すべての音を聴き取れるよう、十分にゆっくりとしたテンポで練習します。そして、あらゆるアーティキュレーションや強弱記号が持つ性格についても思いを巡らせるのです。私はカデンツァを、単なる難所の寄せ集めとしてではなく、一つの「音楽」として研究します。そして、いざ全体をまとめ上げる段階になると、あることを思い出すのです。ベートーヴェンは、「完璧さ」そのものを追求することには関心がなかった、という事実です。彼が重きを置いていたのは、豊かで生命力に満ちた音楽的着想を伝えるための手段としての「表現」だったのです。