「恐れずに演奏する」
恐れずに演奏するということは、自分の技術を磨いて、自分の手で伝えたいことをすべて伝えられるようになることも意味します。
コスモ先生はいつも私に、「恐れずに演奏しましょう。」とおっしゃいます。先生も私もこのことをとても大切にしていますが、最初は私にとっては難しいことでした。なぜなら、以前はコンクールで好まれる弾き方の通りにすべきだろうと考えていたからです。今、私が気づいているのは、自分の音を見つけ、作品が自分にとって何を意味するのかを自分の物語で伝えることの方がはるかに重要だということです。すべての楽譜は詩の朗読や解釈のようなもので、同じ詩を誰一人同じように読んだり感じたりすることはありません。みんなが同じ方法で朗読しようとする方が難しいでしょう。偉大な作品だからこそ、それぞれの演奏家が自分の経験、自分の人生の物語をそこに持ち込んでいくはずです。それが私がとてもやりたいことであり、それを今、学んでいます。
また、常に演奏技術の向上の重要性も改めて感じています。技術を磨くことで、鍵盤上で伝えたいことを思い通りに表現する自由が得られます。これは画家にとっても同じことだと思います。画家が作品のさまざまな技法、色彩、光と影の使い方、そして筆のタッチの繊細さや大胆さの使い方を習得できなければ、その画家が作り出せるイメージは必ず制限されてしまうでしょう。だからこそ私は、新しく楽曲を増やす挑戦をするとともに、基礎的なテクニックの向上に取り組み続け、テクニックが足りなくてパフォーマンスが制限されるのを心配しなくて済むようにしています。
「恐れずに演奏する」ということは、どんな内容かに関わらず、自分の学んだことやテクニックを使って、自分が表現したいイメージとメッセージがお客様にきちんと届くような演奏をするということにつながっています。それは、店に入って商品がどれだけ高くても、それを買うお金を持っているというようなことです。
同じくらい重要に考えていることは、作品を見直したり、別のコンサートのためにリフレッシュしたりするたびに、作品をより良くするための新しい方法を探すということです。そしていつでも、作品について新しく発見したことをお客様と共有したいと思っています。