オペラ座の夜、パート1
最近、メトロポリタン歌劇場で上演されたヴェルディの「アイーダ」を、映画館で鑑賞しました。マイケル・マイヤーズによる新演出で、ヤニック・ネゼ・セガン指揮。アイーダ役は、左の写真のエンジェル・ブルーです。ストーリーは迫力があり、このパフォーマンスを見て私は多くのことを学びました。
まず、歌手は指揮者を常に見ているわけではないことに気付きました。歌手は歌いながら演技もしているので、指揮者をいつも見て歌うことはできません。だから、歌手は指揮者を感じながら歌い、演じているのです。歌手はテンポ、間、強弱、その瞬間の感情を感じ取り、それを使ってタイミングや音の長さを合わせて、デュエットやトリオといったパートナーと息を合わせて歌っているのです。
同様に、指揮者も歌手を感じ取ります。指揮者は歌い手たちが息切れしそうになっているときや、次のフレーズを歌おうとしているときを察知し、オーケストラにまさにその瞬間にすべきことをすべて指示します。
今回、私はピアニストとしてこの舞台を観ました。そうすることで、歌手が指揮者に従うために何をしなければならないかについて、素晴らしい視点を得ることができました。私はオーケストラと演奏した時のことを考えました。正しい音を正しいタイミングで演奏するだけでなく、全員が同じ感情で演奏し、次に起こることをすべて予測して、すべてがぴったり合った演奏をすることがいかに重要であるかを考えました。
歌手の様子に注目することによって、舞台上の様々なことがどのように影響し合っているか見ることができました。アリア、デュエット、または数十人がステージに立つ合唱団…規模は様々ですが、それはまさに時計のようなもので、すべての歯車やバネが他のすべてと連携して時計の針を動かし続けていました。
私は今年、歌手と共演する予定なので、ピアニストの視点でオペラの舞台を観たことはとても役立ちました。オペラでは、歌手がオーケストラとリハーサルを始めるずっと前に、指揮者と何時間もピアノのリハーサルをするそうです。そうすることで、音楽の目標と指揮者が達成したいことを設定することができると言います。私も、共演者と楽曲について、どのように分析し考えるか一緒に話し合わねばなりません。そうすることで、機械的なものがなくなり、すべてが自然で自発的なものになり、無理がなくなることでしょう。
偉大なコメディアン、ジミー・デュランテの言葉を借りれば、「私たちはすべてがリハーサルされていないように見えるように何ヶ月も練習するのです!」ということですね。