ルートヴィヒ・ヴァン ・ベートーヴェン 創作主題による32の変奏曲 ハ短調 W0O.80

コスモ先生と一緒にピアノでベートーヴェンの32変奏曲を練習している私。

最近、ベートーヴェンの「創作主題による32の変奏曲」に取り組んでいますが、演奏技術だけでなくほかにも学ぶべきことがたくさんあることがわかりました。この楽曲で私が最も苦労したのは、各バリエーションをできるだけ注意深く観察し、それぞれの特徴を分析することでした。まず、コスモ先生のレッスンを通じて、主題とそれぞれのバリエーションの相違点を見つけることで、各バリエーションができる限り個性豊かなものになるよう努力しました。先生は、それぞれの個性がより際立つためには「真珠のネックレス」のように考えると良いとおっしゃいました。真珠は1粒1粒が美しいですが、その輝きはそれぞれの真珠が少しずつ異なっています。そこで私が試したのは、各バリエーションを「ネックレス」から切り離し、個別に見て、それぞれのバリエーションを小さなソロ作品のように扱うことでした。その後、すべてを元に戻すと、私にとって作品がずっとうまくつながり、以前よりさらに生き生きと輝きました。

私が気づいたもう1つのことは、それぞれのバリエーションの中に次への「準備」が含まれているということです。その「準備」のフレーズが聞き手を次のバリエーションにスムーズに誘います。ですから、私は演奏する際にはその「準備」がきちんと効果的に演奏されているかにも気を配っています。このようにして、それぞれのバリエーションはさらにユニークになります。ベートーヴェンはそれぞれの部分に特別な方法で、次のバリエーションと関係するように工夫して作曲していることがわかりました。

私にとってこの作品を演奏することは、それぞれのバリエーションをそれ自体で本当に際立たせる方法や、作品全体のメッセージなど、多くのことを学ぶことができるので、非常に興味深く、満足感があります。

私はまた別の想像もしています。美術館で、32人の人々が同じ絵を見ている場面です。私はそれぞれの人に、「この絵についてどう思いますか?」「何を思い起こさせますか?」「好きなところは?あるいは嫌いなところは?」と尋ね、32人の人々がそれぞれ意見を述べるのです。このような想像の中では、まるで私は同じ絵に対する32の意見や感想を演奏しているようなものです。さまざまな雰囲気、感情、ニュアンスを得ることができるので、このアプローチは非常に役立っています。

演奏するすべての曲で、その内面を見つめ、できるだけ多くの意味を見つけることはとても大切だと思います。それは、作曲家がなぜその曲を描いたのか、何を言おうとしているのかを理解しようとすることにつながります。どの楽曲にも常に、作曲家がそれについて描く価値があると判断した人物、出来事などからインスピレーションを得ていると思いますが、そのインスピレーションの源になったものや、それらがどのように作品にどう影響したかを知れば知るほど、作品のメッセージを深く表現することができると思うのです。

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「恐れずに演奏する」

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